自院のホームページに患者からの口コミやコメントを載せたい、あるいはGoogleビジネスプロフィール(GBP)に寄せられた口コミをそのままサイトに引用したい、と考える院長・広報担当は少なくありません。結論から言うと、患者の体験談を医療機関が自ら掲載することは医療広告ガイドライン上、原則として禁止されています。一方でGBPの口コミそのものは第三者が投稿した情報であり、扱い方によって規制の対象になる場面とならない場面が分かれます。
まず押さえるべき要点は3つです。
- 体験談の直接掲載は原則NG: 自院サイトに患者の感想文や「効果があった」という体験談を掲載することは、医療法上の広告規制で禁止されている表現に該当します。
- GBP口コミは広告ではないが引用の仕方に注意: Googleの口コミ機能自体は医療機関が作成した広告物ではありませんが、院内やサイトでの引用・抜粋の仕方によっては誘引性を帯び、規制対象になり得ます。
- 限定解除の対象外である点を理解する: 体験談は自由診療の限定解除要件を満たしても掲載できない、数少ない絶対的な禁止表現です。
体験談とは、医療広告ガイドライン上どう定義されているか
医療広告ガイドラインでいう体験談とは、患者やその家族が治療を受けた際の感想・効果の実感を、医療機関側が広告として紹介するものを指します。個人の主観に基づく感想は治療の効果を正確に反映しているとは限らず、読み手に誤解を与えるおそれがあるため、医療広告では原則として使用できない表現に分類されています。この点は患者の「声」体験談はなぜ掲載できないのかでも整理していますが、自院サイトの企画段階で最初に確認しておきたい前提です。
なぜ体験談は原則禁止なのか
体験談が禁止される背景には、効果には個人差があるにもかかわらず、良い結果だけを抜き出して掲載すると患者に誤った期待を持たせるおそれがある、という考え方があります。加えて体験談は受診の意思決定を強く後押しする力を持つため、誘引性が高いと判断されやすい表現でもあります。自由診療のページで限定解除の4要件を満たしていても、体験談だけは掲載できない例外的な扱いになっている点は、医療広告ガイドラインの限定解除とはで条文の要件とあわせて確認しておくと理解しやすくなります。
自院サイトにGBP口コミを引用してよいか
GBPの口コミは患者本人がGoogle上に投稿するものであり、医療機関が作成した広告物には該当しません。この点でGBPの口コミ自体がガイドライン違反になるわけではないとされています。問題になりやすいのは、その口コミを医療機関側が選別・編集し、自院サイトに「患者様の声」のような形で転載する行為です。好意的な内容だけを抜粋して掲載すると、実質的に体験談を医療機関が広告として紹介しているのと変わらないと判断されるおそれがあります。GBP自体も医療広告ガイドラインの対象になり得る点はMEOも医療広告ガイドラインの対象で扱っている内容と重なるため、口コミの取り扱いを検討する際はあわせて確認しておくと判断がぶれにくくなります。
掲載パターン別に見る可否の目安
自院サイトでの口コミの扱い方によって、リスクの度合いは次のように整理できます。あくまで一般的な傾向としての目安であり、最終的な判断は個別に検討が必要です。
| 掲載パターン | 可否の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| GBP口コミ一覧へのリンクのみ設置 | 比較的低リスク | 医療機関側が内容を編集・強調していないため |
| 星評価の平均値のみ表示 | 比較的低リスク | 個別の感想文を伴わないため体験談と区別されやすい |
| 好意的な口コミ本文を抜粋して掲載 | 高リスク | 選別・強調により体験談の紹介に実質的に該当し得る |
| スタッフが要約した「患者の声」風の文章 | 高リスク | 実質が体験談であれば媒体を問わず対象になり得る |
| 満足度〇〇%などの強調キャッチ | 高リスク | 効果を保証・誇張する表現とみなされるおそれがある |
やりがちな失敗と回避策
自院サイトの口コミ掲載でよく見られる失敗は、良い評価だけを選んで見せようとする編集意図が強く出てしまうケースです。星1の口コミは載せず星5だけを抜粋する、あるいは口コミ文の一部を削って治療効果を強調する形に整えてしまうと、体験談の紹介と実質的に変わらなくなります。回避策としては、口コミの内容そのものを編集・抜粋してサイトに転載するのではなく、Googleマップの口コミページへ自然に誘導するリンク設置にとどめる方法が考えられます。低評価の口コミへの対応方針についても、日頃から院内で整理しておくと運用がぶれにくくなります。返信の考え方は悪い口コミへの対応で具体例とあわせて解説しています。
判断に迷ったときのチェックリスト
自院サイトへの口コミ掲載を検討する際は、次の点を確認しておくと判断の抜け漏れを防ぎやすくなります。
- 掲載する情報は口コミ本文の抜粋・編集を伴っていないかを確認する。
- 好意的な内容だけを選んで見せる構成になっていないかを確認する。
- 効果を保証・強調する見出しやキャッチコピーが添えられていないかを確認する。
- リンク設置のみで済ませられないか、掲載目的に立ち返って検討する。
自院サイトの口コミ掲載や広告表現が医療広告ガイドラインに沿っているか不安な場合は、まず該当箇所を無料でチェックできる医療広告ガイドラインの自院チェックリストをご活用ください。より具体的な集患施策の優先順位について相談したい場合は、無料の集患診断で自院の状況にあわせた打ち手を確認できます。